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リレーエッセイご執筆者に次号のご執筆者をご紹介頂きます2007. 3.  RIETI  LETTER
「コンテンツアイランド」復活顔画像と経歴




  株式会社ギャガ・コミュニケーションズ
  代表取締役会長  依田  巽

 「コンテンツ」とは、人間の創造的活動により生み出される情報とイメージの固まりで、さまざまな教養や娯楽を提供し、精神面を含めて豊かな生活を送るために不可欠であり、また、関連産業のすそ野が非常に広く、「新経済成長戦略」に、日本経済の持続的成長を支える成長のエンジンとしてその振興が期待されております。日本経団連が、エンターテインメント・コンテンツ産業部会を設立した理由も、今後の日本経済発展の大きな原動力になるという期待と文化産業としての重要性が強まったからだと思います。安倍総理も、「アニメや音楽などのコンテンツ、食文化や伝統文化などについて、国際競争力や世界への情報発信力を強化する、そういう日本文化産業戦略を策定いたします」と述べられました。

 ですが、優秀な技術力により世界有数の工業国に成長し、一九八○年代以降アニメ、ゲーム等のコンテンツで世界から注目を浴びリードしてきた “コンテンツアイランド 日本”の将来には強い危機感を持っております。わが国のコンテンツ市場は約○・一兆ドルで、米国に次ぐ世界第二位ですが、GDP比では、二・二%で、米国は五・一%、世界平均は三・二%で、世界水準以下です。海外収支では、ゲームだけが約二七○○億円の出超で、映画、音楽、出版、すべてが輸入超過というのが現状です。「新経済成長戦略」が、わが国のコンテンツ産業市場規模を一○年間で一八・七兆円に伸長させるという大きな目標を掲げました。これは五兆円の市場規模拡大で、毎年三%の成長です。過去五年間の成長が約一兆円でして、決して簡単なことではありません。

 現在わが国のコンテンツ産業振興のため、人材育成、権利処理、デジタル技術等の課題について、政・官・財・学が連携しいろいろな検討・取り組みがなされており、私も審議会等で私見を述べてまいりました。大局・総論としての振興策は旨くまとめられておりますが肝心の着手部分・具体策に関しては隔靴掻痒の感が否めません。特に、権利の固まりであるコンテンツの振興にとりデジタル化を迎えた現在、最も重要なことは、“ハードとソフトの連携”だと考えます。従来のハード優先、コンテンツとの共存を軽視した技術開発競争ではハード自体の競争力を高めることはできないと考えます。幸い、ハード業界の総本山である日本経団連の御手洗会長も"ハードとソフトの連携"の重要性をご理解いただきその推進を強く打ち出されておられます。また、経済産業省を中心に、将来その"ハードとソフトの連携"が具体的に推進される好機と期待している「国際コンテンツカーニバル(仮称)」の開催が計画されております。これは、映画、ゲーム、アニメ、音楽業界等が個別開催している見本市・フェアを一度にまとめて、わが国のオールコンテンツの情報発信力を強めることが目的です。

RIETI LETTER 表紙画像  「美しい日本」を標榜する安倍政権にとり、わが国の風土、文化遺産、歴史、宗教にかかわるまで取り込み、また食文化も観光ビジネスとともに「ジャパンブランド」として打ち出していく政策が必要だと思います(コンテンツと観光を合わせますと、二○一五年には四○〜五○兆円規模のビジネスになると考えております)。クールジャパン、これは決してファッション、ポップカルチャー等の若者文化だけでなく、日本が古来から持つ美しさ・魅力も含めたジャパンブランドのオールコンテンツを世界に発信することが、もっと日本に魅力を感じてもらえる最も有効な施策と考えます。「コンテンツアイランド」復活に国を挙げて取り組んでいただきたいと思います。  



次号は、潟eレビマンユニオン会長、重延浩氏にお願いします。
リレーエッセイ 「「コンテンツアイランド」復活」  (リーチレター 2007年3月号)  株式会社ギャガ・コミュニケーションズ  代表取締役会長  依田  巽

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