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  新連載・エクセレントカンパニー
  成長注目企業の社長に聞く
株式会社ナノテック
会社プロフィール
企業名
ナノテック株式会社
住所
千葉県柏市十余二572−61
資本金
9,800万円
従業員
50人
設立
1989年8月29日
営業品目
表面改質装置の製造・販売、受託成膜加工事業、薄膜分析・評価事業など
WEBサイト
活力ある21世紀の担い手はエクセレントカンパニー  意欲ある戦略的な経営者に登場して頂いた
ダイヤモンド・ライク・カーボン技術で未来産業を拓く
今年春に、中森社長は49歳で黄綬褒章を受章され、さらに、貴社が2009年の「元気なモノ作り中小企業300社」に選定されました。ご感想をお聞かせください
画像画像 今年は当社がちょうど創業20年目という節目の年です。この間、DLC(Diamond-like Carbon)という炭素の硬質薄膜技術を追い求めてきた結果として、名誉をいただけたと思っておりまして、心より感謝しております。

インタビューの様子(概要)を動画でご覧いただけます
インタビュー前半
インタビュー前半
(約8.5MB)
インタビュー後半
インタビュー後半
(約4.4MB)
動画動作環境
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ナノテックを設立されたきっかけは
 会社を興す前に4年ほど研究機関に勤め、炭素やチタン金属系の硬質薄膜の研究に携わっていました。産業的に実用化できるレベルまでにこぎ着けたのですが、上層部になかなか理解してもらえず、景気の悪化で、この部門は縮小・閉鎖となりました。この研究を続けるために、仲間4人でスピンアウトし、ナノテックを設立しました。
 スタート時は事業資金で大変苦労しました。我々には、まず良いDLCコーティング装置を開発したいという夢があり、装置の開発から入りました。しかし、部材の仕入れだけでも数千万円かかる。手形を出せない。銀行も貸してくれない。ある会社に出資していただき、我々も資金をかき集めたが、たちまち底をつきました。出資していただいた会社から資金面の協力を得て、日本で初めてDLCコーティング装置を開発することができました。
貴社の技術の特徴は何でしょうか
 当社は、硬質薄膜を母材にコーティングする装置の開発・販売、コーティングの受託加工、薄膜の分析・評価事業を3本柱に、トータルで表面処理技術を提供しています。DLCはダイヤモンドに似た炭素膜で、硬く、滑らか、摩耗しづらい、摩擦熱を発生しづらいなどの特徴があります。画像当初、DLCがあまりにも硬いので、軟らかな母材では密着力がとれずに薄膜が割れてしまい、用途は超硬金属以外に広まらなかった。そこで、我々は母材との密着力の向上に力を入れ、軟らかな母材にコーティングできる技術を開発しました。最近はアルミニウムにもコーティングでき、爆発的に用途が広がっています。歯車、切削工具などの保護膜から高分子材料の保護膜などに使われています。
 さらにコーティング装置の開発で苦労したのは放電の安定性と大きなエリアに均一にコーティングする技術です。複数のイオン源をバランスよく制御する技術を開発し、装置に多数のイオン源を取り付けて、非常に大きなエリアにコーティングすることを可能にしました。これからの大量生産時代に大きな武器になると思っています。
 最近は様々な企業が参入し、軟らかいDLC、電気を通すものなど様々な種類が開発され、顧客がどれを選んだらよいのか分かりづらくなっています。そこで、我々は、世界で初めて、DLCの分析・評価機関を平成18年に立ち上げ、この事業に力を入れています。
DLCを進化させた高機能膜ICFとは
 ICFはIntrinsic Carbon Filmの略称で、真の炭素膜という意味で我々が名付けました。DLCはいろいろな元素を混ぜること(ドーピング)によって様々な機能、特性を持たせることができます。例えば細胞を接着する、発電する、さらに、撥水性、親水性、高絶縁性などを付与できます。DLCをベースにいろいろな特性を発現させたものをICFといっています。DLCで太陽光パネルをつくると、理論的には三十数%の発電効率を持ったものができます。DLCをきちっと制御して機能を付加すれば最適な高機能膜になります。
今後の事業戦略をお聞かせください
 これからも炭素の薄膜を中心にやっていきます。厳しい経済環境ですが、受託コーティング事業では、約8億円をかけて大型コーティング装置を導入しました。24時間稼働で高品質の五層コーティングを行うことができ、他社に差を付けることができます。
画像
 DLCでは高機能化により、エネルギー、生体、医療、バイオなどの新しい分野を開拓していきます。例えば人工心臓、人工臓器などでは有機と無機の接合が必要になりますが、そこに生体適合性のあるICFの活用が期待できます。すでに生体適合材料や太陽電池にする研究に着手しています。3年前から、将来を見越して、我々の知識が乏しいバイオ、半導体関係などの会社にグループに入ってもらい、体制を整えてきています。将来的には、地域の企業、大学などを巻き込み、医療、環境、食品、エネルギーなどの関連企業が集積する「カーボンバレー」を、柏市を中心につくれないかと考えています。
座右の銘、健康法は何でしょうか
画像  好きな言葉は「人間万事塞翁が馬」です。人生で極端に運のいい人もいないし、不幸な人もいない。ちゃんと努力していればいいことが来ます。一回の人生ですから、おおらかに生きていくことが大事です。健康法では、デスクワークが多くなり肥満がちですので、自宅との約7kmの通勤にはできるだけ自転車を使うようにしています。
会社案内会社ロゴ

本社工場画像

JSA/JAB/AichiQuality画像

製品・サービス

コーティング装置一覧
真空とプラズマを利用し、コーティング装置一覧イメージ様々な材料に薄膜や改質層を成形し、付加価値を高める装置を製造。ユーザーのニーズに合う多種、多様な真空装置のカスタマイズ製作を行います。

DLC(ダイヤモンドライクカーボン) DLC(ダイヤモンドライクカーボン)
ダイヤモンドの性質に近い高硬度(マイクロビッカース硬度2,000〜4,000),低摩擦係数(μ=0.2以下),表面平滑性及び耐溶着性・離型性に優れたダイヤモンド・ライク・カーボン成膜装置のスタンダードモデル。

ICF成膜装置
ICF シリーズ
ICF成膜装置 ICFシリーズ
DLCを含む高機能性を持つカーボン膜による超鏡面性、導電性、耐熱性、撥水性、アルミニウム合金用、光学用、絶縁性、環境調和型を付与したコーティング装置。

マルチPVD成膜装置
DASH シリーズ
マルチPVD成膜装置 DASHシリーズ
低摩擦係数で高硬度を持つダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)膜の生成をベースに、各種蒸発源を併用することによりDLC膜の密着力の向上、厚膜化、複合膜化などの研究開発を目的に開発された装置です。また、アーク源やHCDガンを単独で使用すれば、チタンやクロム系の薄膜/合金膜のコーティングも、さらにスパッタリングやEBガンを使用すれば酸化膜のコーティングも可能となります。

PSII方式マルチPVD成膜装置
NPS シリーズ
PSII方式マルチPVD成膜装置 NPSシリーズ
イオン化蒸着法によるDLC成膜を基本に、幅広いアプリケーションに対応すべく新開発のPSII電源を標準で搭載して、その放電パラーメータによるDLC 膜の塑性制御を容易にし、更に多層膜や複数の原料を使用してドーピング成膜をすることで、全く新しい特性のDLC膜も処理が可能です。量産用生産機から開発を目的とした実験機と、あらゆる用途に適応します。

ホローカソード型PVD成膜装置
NTH シリーズ
ホローカソード型PVD成膜装置 NTHシリーズ
弊社真空装置技術の基礎となった伝統のモデルです。独自に開発したホローカソード型イオンプレーティング方式によって、TiN、TiCN、CrN等のハードコーティングをドロップレットの少ない、平滑で密着性の高い成膜処理を可能にしました。

小型DLC成膜実験装置
330 シリーズ
小型DLC成膜実験装置 330シリーズ
弊社のDLC成膜技術をベースに、あらゆる研究開発を目的とする御客様からの要求にお応え出来るように開発されたDLC成膜実験機の最新モデル。コンパクト設計ではありながら、PSII電源標準装備や高周波スパッタ源等を追加可能で、大型生産機と同様の複合成膜も一台で実験が可能。

DLC剥離処理装置 DLC剥離処理装置
DLC膜及び中間層膜を弊社独自のプラズマ技術によって剥離・洗浄が可能な専用モデル。DLC膜の代表的な特徴でもある、成膜⇔剥離を繰り返し行えるリサイクル機能の剥離工程を担当する重要な装置。

コーティング受託加工
コスト削減、省エネ、耐久性、寿命向上コーティング受託加工イメージに役立つDLCとICFコーティングでお客様のニーズに合わせた表面処理を少量サンプル試作から大量生産の受託加工を行っています。

薄膜評価試験機
ナノテックは、スイスCSM Instruments SA 社製の薄膜評価試験機イメージ各種試験機の日本総代理店として試験機の販売・アフターサービス・受託測定を行っています。

表面分析
ナノテック社内にある表面分析センターの表面分析実験装置・評価試験機器を用いてお客様と共に実用を前提とした研究・試験を提供しています。

ナノテック株式会社 本社にて 代表取締役社長 中森 秀樹 氏
聞き手  財団法人経済産業調査会編集特別顧問 岡村 信克

この記事は当会の 会員資料 および 経済産業公報(2009年 10月 2日号)に掲載されます。
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